
鎮守庸代
現在、ロンドンにて生活。 遠く離れても、心は故郷・鹿児島に。
蟻の兵隊
奥村和一さんが亡くなったことを知りました。
奥村さんの肩書きは、というと
「元日本兵」ということになるのでしょうか。
第二次世界大戦後、上官の命令で中国に残留し、
中国の内戦を戦った日本兵です。
故郷に帰りたかった、でも命令だから残った。
しかし日本政府は「志願による残留」とみなし、
彼らの戦後補償を拒み続けました。
奥村さんは裁判に負けても負けても、
挫けず戦い続けました。
私は彼を追ったドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』(池谷薫監督)で
初めて、この日本軍山西省残留問題を知りました。
そして、奥村さん本人を取材する機会に恵まれ、
1度だけですが、直接お話を伺ったことがあります。
奥村さんの切なくも鋭い眼を、
私はまっすぐ見つめてインタビューできるだろうかと
かなり緊張していたのですが、
お会いしてみると 予想以上に照れ屋で、
とてもあたたかい笑顔を向けてくださいました。
そのときの奥村さんの言葉です。
「過去のない現在はないんですよね。
過去のことを曖昧にしたままね、
現在とそこから描かれる未来というのは
はっきりしないんですよね。
現在を正しくするためには、
やっぱり過去を糾さないといけないと思っています。」
この言葉は
奥村さんが経験した“戦争”について語られたものですが、
今、改めて書き記すと
いろんな状況に対しても言えることだな、と実感します。
ウソの歴史を残してはいけない、と
国に裏切られ、裁判に負けても、
真相究明を絶対に諦めなかった奥村和一さん。
享年86歳。
本当に、お疲れさまでした。

Re:蟻の兵隊
- 投稿者
- 中島佳子
- 投稿日
- 2012/02/11
今日、紀元節の日に、多摩全生園で「蟻の兵隊」の上映会。主催者を含め多岐に渡って含みの多い上映会。
封切り以来、ずっとこの映画を見たいと思っているものの、今日も外す事のできない予定があった為、行く事ができませんでした。しかし、こちらのブログを見て、より一層見たい気持ちが募りました。奥村さんのご冥福をお祈りします。
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