日刊争論

「日刊争論」では
日々のニュースに対する「ご意見」を募集しています
WEB多事争論編集委員が立てたトピックに、 あなたの「異論」「反論」、お待ちしています

No.1341に関するツリー

[1341] 海の向こうで国民投票がはじまる。

投稿者
編集委員
投稿日
2011/06/13 17:18

「フクシマ」の事故が端緒となり、イタリアで行われている「脱原発」の是非を問う国民投票。どうやら成立の条件である投票率5割を超えそうな情勢となってきました。

翻って日本で、国民が原発への賛否について、自らの問題として意思表示し、政治的選択を行う機会は、どのようにして持ち得ると考えますか?

投稿する

[1342] Re:海の向こうで国民投票がはじまる。

投稿者
木村
投稿日
06/13 23:40

原発がすでにある国と、元々持っていない国という風に事情が違うわけですから、難しいですね。
それに公共事業といえども民間企業が持っている財産を、国民の意思だといって、取り上げるのもどうなのかな?という気はします。

まあ一昔前の”一介の労働者がみんなの支持を受け、巨大企業の悪逆非道の儲け話をぶっ潰すといった”絵物語のようで痛快といえば痛快ですが、”蟹工船”のように結局ぎゃふんといったのは現場監督の船長だけで、金持ちは痛みをそう感じないといった結果になりそうです。
いまだと原発の所長あたりでしょうか?そこら辺がやめろといろんなところから言われ、実際問題、どうやれば、原発をなくせるか分からない状態で、ひいこら言うだけになりそうです。

それ以外にも問題はメディアです。まあいつものような批判ではなく、面白そうだなと思ったわけですよ。
電力会社は民間企業です。選挙だからといって、自らの不利益になるようなことをやられて黙っている義理もありません。
メディアは広告収入でやっていってます。

ある局では原発推進、ある局では原発反対。それどころか番組によって、意見が変わるかもしれません。
いろんな局でMCをやっている人になると、この局では、原発は必要だといい、別の局では、原発は要らないという、二枚舌を見せてくれるかもしれません。原発反対の番組は、カメラもひとつで、廊下で収録とかになるかもしれません。
そこら辺は見ものですね。

それ以前に政治的選択ではないですが、それなりに意思表示は現状でも出来るはずです。少なくても電力会社には。
電力会社は株式会社であり、株を公開しています。
株を買って株主総会でも話をすればいいんじゃないですか?
もちろん、今回の震災のように、株価下がったらどうするんだというような金銭的な話をしてもいいですし、
電力使用者の面から、このような危険な発電方法はどうかというような話をしてもいい。それなりにやり方はあると思うんですけどねぇ。

いろんな問題に関係があるし、それぞれの思惑はあるし、報道はそれを伝えないしということで、単純に原発への賛否という風に二元論で語りにくいですね。

どれだけ問題点が出て、それがどれだけ自分に影響を与え、それをどれだけ妥協できるか、これは難しい話ですよ。
まあ電力足りなければ、”三丁目の夕日”みたいになればいいと言っている人もいますが、その時代って人工透析とか出来ましたっけ?
もっと過激なことを言うと、原発廃止が決まったから、やる気なくして事故発生なんてしゃれにもなりません。

そこらへんを何とかするための代議士だと思いますし、支持政党だと思うんですがねぇ。

投稿する

[1344] Re:海の向こうで国民投票がはじまる。

投稿者
まずは冷静な報道が必要
投稿日
06/13 23:41

とにかく現状では、国民投票を実際に行うかどうか以前の話だと思います。

・電気をEU内で輸入/輸出する体制できている独伊と、現状では完全自給しかない我が国を比較する。(日本は電力会社・一般の発電設備発電設備を持つ業者が、自国内で相互に電気をやりとりしている=EUにおける電力の国家間輸入/輸出を一国内で行っているということを認識する必要がある。また、ドイツは自国内で石炭の採掘ができ、発電の5割程度を担っているという現状がある)

・電力不足が本当に起こるか否かを、電力会社が持つデータをつぶさに見て、本当に電力危機が発生するか否かを検証する。(特に、単純な需要と供給のバランスだけではなく、電気の輸送体制、電気の需給調整についてなど、幅広い検証が必要。発電量=今夏予想需要であれば問題なしという考えが新聞や与党を含めた政治家から発信され、それを根拠にした主張も散見しており、十分な検証が本当に必要)

・原子力発電所の事故について、実際に水蒸気爆発した福島第一と、被害が甚大でなかった福島第二、女川の違いをもう一度検証する(甚大な被害が起きた設備とそうでない設備の被害状況を検証することで、既存の原発について、確実に廃炉にするまでに必要な設備の増強や対策を皆で共有することが必要)

・自然エネルギー生産手段を含め、の導入に向けたメリットとデメリット、何より実現に向ける道筋と必要な期間、と技術的な問題を検証する。特に、今夏だけではなく今冬、1年後、3年後、10年後、30年後まで目を向けた実現可能な対策を講じる必要がある。日本も脱原発を目指すのであれば、計画的な出口戦略を持つ必要がある。(たちまち今夏の電力不足が喫緊の課題として見えているのに、自然エネルギー導入のための制度作りや、20年後の予想図を話題にするだけで、今そこにある問題を先送りにしているようでは無意味。既存の原発が発電している電力をどう差し替えていくかを検証する必要がある)

・電力設備の変化に伴い、電気と同時にに需要が高まるLNGや石炭、石油など既存の発電燃料に対する確保の手段が、安全かつ確実に実施できるかの検証を行う。(自然エネルギーだけでなく、既存の電気設備は燃料がなければ発電できない。また、その輸送手段については海上の安全保障や、場合によっては船舶などの確保も必要となる。)

・新規エネルギー確保のための設備を生産するため、その手段や資源をいかに確保しているのか、またその調達手段は正当な手段か、監視の目を注ぐ(国内で生産するなら、その分の生産エネルギーや資源確保が必要。国外で生産する場合は経済的な問題や雇用の問題も同時に発生する。また、新規エネルギー開発の状況に、不当な「利権」が発生しないか、また労働問題など社会的問題が発生しないかなど、報道は「原発利権」と同等の厳しい目を向ける必要がある)

・新規エネルギー生産設備と既存の設備の連携をいかに考えるか、その手段について検証する。(現在の電力ネットワークにつなぐなら、生産場所から消費地点の距離が遠いなら、生産拠点と送電網の材料と用地と技術者の確保、なにより地域そして土地提供者への説得と理解が必要。自家発電設備との連携であれば”自所”のみで消費するだけでなく、電力会社へ売電する際に必要な電力インフラの増強が必要か、自家発電設備の事故を他所に波及させない手段、スマートグリッド実現のためのサーバー整備、情報インフラの整備、サーバーダウン時にスマートグリッド網を含めた、電源システムの構築と電源ダウン時の公共に対する安全確保が必要となる。)

・現に存在する原子力発電所を廃止するのであれば、廃止のロードマップはもとより、瓦礫や原発の老朽、撤去設備の「廃棄」をどうするのか(水棺、セメント棺、地下貯蔵など様々な廃棄方法があるが、これを逃げているようでは本当に「脱原発」が進まない。老朽設備を半永久的に使い続けたり、放置する原因になりかねず、また他国へ原発のゴミを押し付けるという好意にも結びつく可能性がある。スウェーデンのように使用済燃料の最終処分場建設地を国民合意で決定するなど、何らかのプロセスが必要)

素人目に見ても、これぐらいの問題は確実に検証する必要がありますし、報道する側は報じるだけでなく、多角的な検証をする必要があると思います。

何より、電力会社に対して面と向かって対峙せず、比較的マスコミとして電力会社から反論を受けづらく、世間から批判を受けづらい「原発事故に対する批判」と「盛り上がる原発事故への批判と、それに連動した反原発の動き」、そして「自然エネルギー推進の動き」という表層的な動きを伝えるだけに終始するようでは、必ず報道する側にとっても、受けての国民側にもデメリットが生じると思います。先日の新宿の脱原発デモを報道していた日下部さん、金平さんほかのスタッフは、表層的な動きしか報道しているようにしか思えませんでした。また、イタリアの国民投票についても、「脱原発の動き」しか伝えずに、イタリア国内での議論や、日本とイタリアの電力事情の違いについても報道が薄いと感じざるを得ません。

それでも、どのようにして、国民が原発への賛否について、政治的選択を行う機会をどのようにすればいいか、という考えについて答えるのであれば、上記の問題点について真剣に検証したうえで報道する体制が確立され、国民的な共通認識の土台を成立させた上で設けるべきだと考えます。

よって、早急な政治的選択を行う機会を設けるような動きには懸念を覚えます。「脱原発」というスローガンだけに着目するあまり、誰もが脱原発のため工程や技術的ステップを踏まず、また問題点を指摘する声を無視して突き進んだ結果、合成の誤謬を招く可能性がありますから。

ところで、このテーマをお出しになった編集委員さん個人は、どのようにお考えなのでしょうか?

投稿する

[1348] Re:海の向こうで国民投票がはじまる。

投稿者
長文
投稿日
06/14 21:38

まずは冷静な報道が必要さんの極めて簡潔に纏められた素晴しいご意見に
私の浅学では何も付け足せないので
編集委員さんの
>翻って日本で、国民が原発への賛否について、自らの問題として意思表示し、政治的選択を行う機会は、どのようにして持ち得ると考えますか?
について少しだけ述べさせてください。

まず、私は(所謂憲法改定のための国民投票とは違う)
直接政治を縛ってしまう国民投票について懐疑的です。
国民投票は確かに国民の意見を直接反映できスピード感を持って物事を決められますが、
一方で非常に危険な諸刃の剣であります。
よく日本の国民は流され易いなどといいますが、
国民というものはどこの国でも流され易いものであり
その流され易さが必ずしも上手くいかないというのも万国共通であると思います。
もちろん制限を掛けて運用することも考えられますが、
それはそれで国民投票の利点を削いでしまいますし、危険性を排除できるものでもないでしょう。

自分が支持する思想が国民投票で通りそうであるから国民投票に賛成で、
通りそうにないから国民投票に反対ということも出来ませんからね。
左派であれば右派の政策が、右派であれば左派の政策が過半数を取る可能性というのも
考えておくべきです。

よって私は国民投票などに頼らず、
地道に自分の政策を実現してくれる政治家を選ぶしかないと思います。
確かにじれったいものですが
議会主体の民主主義というのはじれったいものです。
デメリットのように感じられますが、慎重さを加えられるという点でメリットでもあります。

原発の賛否についても同じ考えを持つ政治家を選んだり、或いは支持し育てたり、
或いは世論を喚起したりと様々な方法があるでしょう。
デモもその一つでしょうね。

投稿する

[1349] Re:海の向こうで国民投票がはじまる。

投稿者
金平茂紀
投稿日
06/14 22:48

イタリアの選択はとても大きい意味があると思います。
独伊とくれば本当に次は日本でしょう、普通ならば。
これこそ、歴史のアイロニーなのでしょうが、
そのアイロニーに意味を解する日本人は今やいない。

今、僕は浜岡原発に来ています。
当地での福島原発惨事の風化はすさまじく、
無力感を感じます。
むしろ、滅びるべくして滅びるのかなあ、日本は、
などと実感します。
村上春樹を「幼稚」と言い放つことができる知性とは
どの程度のものなのか。
僕には、じっくりとみている時間は残されていません。

投稿する

[1351] Re:海の向こうで国民投票がはじまる。

投稿者
島田陽一(仮名)
投稿日
06/16 06:37

イタリアの国民投票って、投票用紙に何て書いてあったんでしょうね?

もし私が投票用紙の設問を書くとしたら以下のようにします。

問一:あなたの国は原発を安全に取り扱う能力があると思いますか?
問二:万が一事故が起きた場合、あなたの国はそれを沈静化させる能力があると思いますか?
問三:あなたの住居の近隣に原発の建設計画が持ち上がった場合に、あなたは賛成しますか?

投稿する

[1357] Re:海の向こうで国民投票がはじまる。

投稿者
等々力為五郎
投稿日
06/18 16:08

国民投票について厳しい意見が多いですね。
私もいい議員を選んでいい議会を形成するのが議会制民主主義の基本だと思いますが、小選挙区制で勝った(=多数の死に票を反映していない)"代議"士が集まった、足の引っ張り合いに忙しい今の国会が、民意をきちんと反映できているのか疑問です。
二倍も三倍もある一票の格差の問題もあります。

加えて、自分が投票するとなると「福島県の被災者の可哀想な話」ではなく、自分たちの国の国策がどうあるべきなのかという当事者意識が出てくるし、投票までの議論の過程で、より深い認識が生まれてくる効果も期待できます。
50%条項(50%以上の投票率がないと選挙は成立しない)を盛り込むなどした上で、民意を問うために国民投票を一度やってみるのもいいのではないでしょうか。
明確に示された民意には政治を動かす力があります。

>木村さん

>まあ電力足りなければ、”三丁目の夕日”みたいに
>なればいいと言っている人もいますが、その時代っ
>て人工透析とか出来ましたっけ?

要は優先度の問題であって、オフィスや喫茶店、小売店等の過度のクーラーはやめればいいし、人工透析や猛暑時の病院のクーラーのような命に関わることは続ければいいんじゃないですか?
おっしゃるように誰がどれだけ自分への影響を受け入れるのかは難しい問題ですが、震災以降の節電の浸透や、銀行のシステムをダウンさせるほどの寄付金の集まりを考えると、まだまだ希望はあります。

投稿する