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[1244] Re:原発事故2
- 投稿者
- 島田陽一(仮名)
- 投稿日
- 04/18 22:48
原発の事故について「事故はある程度は仕方がない」という論調もありますが、ここで二つ程、そうとも言い切れない事例を挙げてみます。
一つは、日本が世界に誇る新幹線であります。この新幹線を設計した人は、特攻機の「桜花」を設計した技術者でありました。十字架をずっと心に背負ったこの技術者は新幹線の開業前に退職したのですが、その時「自分の技術はすべて出し尽くした。あとのことは心配していない」と語ったそうであります。その後の新幹線の安全神話は言うまでもありません。
もう一つは、2001年に撤去された富士山レーダーのレーダードームを設計した技術者であります。強風にさらされる日本一高い独立峰に設置するレーダードームの設計者に依頼されたのは「秒速100mの風に耐えること」でありましたが、この技術者は「要は風の力では壊れないものを作ればいいんだな」と言って、あの形状を設計したそうであります。結果としてドームは40年以上も文字通り風雪に耐えました。
最近、原子力推進派と言われる人たちが一見窮地に立たされています。これ程の事故が起きている訳ですから当然と言えば当然ですが、私はむしろ以下の点から彼らを責めたい。
「あなたたちの存在が、原発の技術的な正常進化を妨げ、危険なものにしてしまったのではないか」
中小の町工場には、たまに大手のメーカーから原発に使用される部品の製作依頼が来るそうであります。
メーカーから渡された設計図をみると「熱膨張を考慮していない」と思われたので、このままでは「水が漏れる」と指摘すると2度と依頼は来なかったとのことでした。
技術の問題に対し、レベルの大小はありますが政治的な力が立ち入るとこういうことが起こります。
本田宗一郎は技術者として「真実は、権力よりも強いんだ!」と言ったと伝えられますが、今回の原発事故は正に「権力が真実に負けた」ことを意味していると思われます。