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[1250] Re:伝える力
- 投稿者
- 島田陽一(仮名)
- 投稿日
- 04/22 00:50
私の若いころ、ビートたけし氏はお笑い芸人としての全盛期を迎えていました。
「何故この人は面白いのだろう」と考えたときに、聴衆の「言語化できていない思考をうまく言い当てている」という結論に達したことがあります。
人間の思考というのは、通常「意識の水面」よりも上がってこない言語化されていない潜在的なものが多く占めています。
「頭の良い人」と言われる人は通常以下の特徴を持っているものと思われます。
・自分の潜在的な意識、つまり言語化できていない意識を、状況に応じて短い言葉で端的に表現できる
・それが他の多くの人の潜在的な意識を代弁している
ビートたけし氏の「赤信号みんなで渡れば怖くない」というのは、正にその特徴を兼ね備えていると思ったことがあります。
「伝える力が強い人」として名の挙がっている人たちは、その特徴を持っていると思います。
筑紫さんはかつて「日本のオピニオンリーダー」の4位に選ばれたことについて、「自分はそのタマではない」と著書の中で述べています。
彼の思いとしては「大勢の潜在意識を代弁する」ことで大衆ウケする気はなくて、むしろ「みんなはそう言うけどこんな見方もあるよ」と多事争論で一石を投じ続けてきたという自覚があるのでしょう。悪い言い方をすると「主流派の人たちが、潜在的に触れてほしくないと感じている」ところを、うまく突いていたと言えます。
「伝える力」を構成する要素のもう一つ大きなものは「信頼感」だろうと思われます。「信頼感」というと曖昧糢糊としていますが、要は自分に嘘をつかないことだと思います。
筑紫さんは「テレビという媒体は、どんなに取り繕っても真実を映し出してしまう」という認識を示していました。この認識(諦観)が彼に信頼感をもたらしたのだろうと思います。
余談ですが、東電や政府・原子力保安委、さらにはスタジオで深刻そうな顔をしたキャスターがいくら言葉を操っても全く信頼感がないのも同様にテレビの力だと思います。