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[1597] 踏み絵
- 投稿者
- 島田陽一(仮名)
- 投稿日
- 03/17 02:58
橋下氏は、労働組合が伝統的に強い運輸(市バス)や教職をターゲットにしているように見えます。
強い組合は既得権益も大きいわけで、そこにメスを入れて改革が上手くいけば得るものも大きいということだろうと思われます。当然、リスクも覚悟の上でしょう。
この度のニュースを聞く限りでは、「君が代」をいわゆる「踏み絵」にして、隠れキリシタンならぬ隠れサヨク教師をあぶり出すのが目的で、組合に対する攻撃手段としてはそれなりに有効なのかも知れませんし、愛国心を「治世の道具」として利用するというのは、型破りな橋下氏のイメージに合わず、むしろ政治家として伝統的で手堅い手法とも言えます。
ところで、この手の教師を排除する過程やその結果で学校では何が起きるのか。
組織を運営する手法として、一般論では
①対立構造を導入し緊張感を保つ
②目標を共有し一体感を保つ
という、二つの手法があると言われます。
①の典型的な例としては「三権分立」があるわけですが、立法・行政・司法はお互いに共存することが前提です。片や君が代をめぐって教育現場で起きていることは「排除の論理」でありまして、対立構造を作ったうえで一方の立場の人を「辞めさせる」ということであります。民主主義の大前提は「お互いに存在を認めあう」ということであるとすると、橋下氏のやり方は教育現場にあまりふさわしいとは思えない。大人になって世の中にでれば、当然意見の異なる人と向き合う必要が出てくるわけですが、規則の条文一つで向き合うことなく排除できてしまう。君が代を斉唱すべきかそうでないかについて生徒の前で先生方が議論を積み重ねていくというのも、教育の一つのやり方ではないかと思われます。いわゆるディベートですね。
結局、こういったことを避けたがる風潮の延長線上に、震災のガレキの扱いや沖縄の基地問題で起きているような、自分のテリトリーからそういった「面倒くさい」ことを排除するという風潮が生まれているのではないかと思われます。
それはさておき、筑紫さんは朝日新聞に在籍中に「ありとあらゆる懲戒処分を受けた」と述懐していました。
懲戒処分と引き換えに自分の主義を貫くというのも先生方の取り得る一つの方法であろうと思われます。