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[1617] 知りながら害をなすな
- 投稿者
- 島田陽一(仮名)
- 投稿日
- 03/20 08:59
「みんなが決めたことをみんなで守る」のが民主主義であります。
ただし、ここでいう「みんなが決めたこと」とは立法のことを指します。
一方で、この件で問題になっているのは主に「行政」(文科省)が定めたルールであったり、もっと突っ込んで言えばルールの「運用」面の問題であったりします。
我々が作った法律通りに行政が施政を行っているかを監視するのも国民の役目であります。
最高裁判決では、「(君が代起立・斉唱の)業務命令そのものは合憲。ただし違反に対する処分は一定の節度と基準を持って行うべし」というものですから、最終的な法律判断は出ているといえますが、「口元チェック」という話になると、完全に運用の話であります。
中原校長の書き込みを拝見しましたが、橋下市長のツイッターも含めて感じたのは「頭の良い人が考えるもっともらしい正当化」ということであります。
簡単に言うと、君が代の起立・斉唱を定めている自治体は他にもありますが、「口元チェック」を実施していると言明したのはココ以外に聞いたことがない。
**********中原校長の書き込み抜粋******************
卒業式の際に起立して国歌を「斉唱」する(東京都の)職務命令の適法性については最高裁判所がすでに適法であると判示しています。
大阪府の条例は、選挙で選ばれた府議会議員によって決議されています。
行政機関は、法の執行者として、議会が成立させた法(条例)を遵守し、司法(最高裁判所)の判断を尊重します。
私は校長という教育行政機関の一員として、上司である大阪府教育委員会からの職務命令・指示を遵守しました。
これが憲法が要請する民主主義であり、三権分立です。
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などと記されています。一見、非常にもっともらしいのですが、この「大仰すぎる」主張の陰で「論理のすり替え」が行われている印象がある。
具体的に言うと、批判を浴びているのは「運用」の話なのに「法律(条文)」の話に持っていこうとしている。
彼らは法律家として「そこまでしなくても教育委員会からの指示は満たせる」ことを知っている(同様の指示を受けた他の学校ではどうしたのか)。
彼らは法律家として最高裁の判決内容を十分に知ったうえで、都合の良い部分だけ援用している。
彼らは法律家として「謙抑性」という言葉を知っているはずなのに、そこはあえて言及しない。
「行政機関の一員として法を守るためにやった」という体を成しながら、実は「自分たちの行動を正当化するために法をつまみ食いしている」という印象を持ちます。
「知りながら害をなすな」という言葉がありますが、彼らに贈りたい。