ワンショット劇場

カエルの痛覚

2010/03/26




これを気持ち悪いと感じるか。
かわゆらしいと感じるか。
わたしの場合は、めんつゆにくぐらせて
ゾゾッとすすってみてもよいかも知れない。

このあたりに最近越してきたその男によれば、
まいにち車で仕事に出かけるたびに、
ぬかるんだ泥道で、彼らの親たちを
幾十匹と踏みつぶすことになり、
その瞬間の柔らかい肉がはじける感じは、
タイヤの下からでもちゃんと伝わってくるんだそうだ。
そんなことで春はとてもイヤな季節だったそうだが、
いまではもう慣れたってさ。

いずれこの子たちの大半はおとなになれないし。
なったらなったでそういうことなわけだ。

気まぐれにカエルの痛覚に思いを馳せてみる春。


tadpole

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