
進藤 晶子
2009/05/28
昨年4月、大学院生になりました。
現在、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の修士課程に在籍しています。
ここ数年、大学院で学ぶ社会人が増えています。
私の同級生も、80人のうち4割が社会人です。
会社経営者、ラジオ局の技術者、歯科医、医学博士、ウェブデザイナーと、バックグラウンドもバラエティーにとんでいます。
「学び残したことを改めて吸収したい」
「自分を客観的に捉える時間にしたい」
「これをきっかけに新しい人生を切り開きたい」と、思いは様々。
私は、興味のあることをなにかのカタチにしたい、と入学に至りました。
メディアデザイン研究科は、
“世の中に存在するものすべてが『メディア』。その『メディア』を産官学が連携し、新しい組織・システム・サービスなどにデザインしてしまおう”
というのがコンセプトです。
学生たちの研究分野も、都市開発・教育・医療など、多岐にわたります。
私の研究テーマは「在宅ターミナルケアを支える介護家族支援」。
ターミナルケア?介護?なぜそんな唐突に?と、思われるかもしれませんが、これには理由があります。
出産前、3か月の入院生活を経験しました。絶対安静の寝たきり状態で過ごす病院LIFE。担当のお医者様も看護師さんも、病室の居心地にも恵まれていたのに、家に帰りたくて仕方がありませんでした(実際3度ほど病院を脱走しましたが)。家族にオンブにダッコの日々は、家族への感謝の気持ちとともに、なにもできない自分が情けなくてたまりませんでした。
そこでしみじみ思ったのは
「“出産”のための入院だから希望がある。でもこれが治療不可能な病気だったら。家に帰りたいという気持ちを我慢したまま、ここで最期を迎えるのだとしたら。そんな悲しいことはない」ということでした。
大切な人たちにそのような思いはさせたくない、と強く思いました。
“末期がん患者さんが希望する療養場所として「自宅」と答えた方、60%”
という統計があります。ですが実際にその希望が叶う患者さんは一握りなのが実情です。「家族に迷惑をかけるから」というのが、在宅療養に踏み切れない大きな理由のひとつです。
実際にこれまでお話をうかがった、在宅ホスピス医、緩和ケア医、自宅でご家族を看取られた方たちに共通した反応は、「患者さんのケアで精いっぱいで、介護者やその家族の世話は二の次」「介護者も病気に」「仕事を辞めざるを得なかった」などというものでした。その一方で「辛い介護期間だったけれど、家族の絆がより強くなった」という、救いを感じる体験談も多く聞かれます。
今後、在宅療養を諦める患者さんがひとりでも少なくなることを、そして、在宅ケアを支えるご家族がよりよい療養期間を送れることを願いながら、残りの大学院生活を送りたいと思っています。
進藤晶子