新・明日への伝言

この国のガン〜私にとっての「この国のガン」〜

池田 早葉(一期生)

この国のガンは私達なのではないか。私達、つまり若者。

この国の経済危機や社会不安に直接的に私達が関っているとか、隣国との歪んだ競争心や揉め事の火種を私達が撒いたとかそういうことではなく、もしこの国の諸問題が解決の兆しを見せないまま、無責任にも私達に放り渡される日がきた時は、それは私達が悪かったのだという、そういう意味で。この国を受け継いでいく者としての主張をせずに、暴走を見過ごし、搾取を許し、この国を傾かせたまま、自分達はただそれに振り回されるのみの存在に徹していたということなのだから。

私達は埋没している。

与えられた現状の中で周りとの調和を図り、「この苦しい現状」に一緒になって耐えようとしている。よくわからないけれど、置いていかれないように躍起になっている。あらゆる文化装置に翻弄された挙句、社会の一員として正体も分からない物のバランスを献身的に支えようとしている。そんな必要あるのだろうか。こんなことに付き合う筋合いなんて、ないはずだ。

容赦なく襲い掛かってくるドミノ倒しの些細な一駒に成り下がり、律儀に共倒れに付き合わずとも、もっと精神的にも環境的にも健康な生き方はあるはずだ。歴史から、先人の知恵から、貪欲にその方法を学び身に付けていくべきだ。意志を持った者としての前向きな主張をしていくべきだ。つまり、それができていない私達は、私達にとっての最大のガンなのではないか。

これまで何度となくこの国は危機に面している。その度に警鐘を鳴らし、この国の進むべき指針を示してくれた人がいる。そういう恐ろしく頼もしい力によって、この国は、私達は、今までなんとかやってこれた。しかし、23時にテレビに向かって感謝や賛同の念を目力で送信することはもうできない。

切実に今、私達は私達の問題に向き合わないといけない。

「甘くない」と言って従っているのは甘んじているだけ。変わることを拒んでいるのは弱いだけ。何もしないでただ待っているのは、かっこ悪すぎる。

もっと力をつけたい。体の奥底から込み上げてくる根性のようなものを見せてみたい。信念を持って強引に押し切ってみたい。私達の未来を守りたい。

筑紫さんみたいに、本気で。