新・明日への伝言

この国のガン

仲嶺 徳彦(一期生)

日本は現在格差はあれど平均的に先進国として恵まれた環境にあるが、それは日本が経済大国として繁栄していた最近までの蓄えがあるからである。しかし、現在は貯金を切り崩して贅沢な暮らしをする一方で未来のための投資が不足している。
政治、経済、教育の政策など、どれをとってもその場しのぎの軌道修正型で、未来を見据えた取り組みを行っているとはあまり感じられないのが事実である。
実際のところ日本の未来を明るく展望できるような具体的な根拠が無いというのが事実ではないだろうか。
日本はどういう方向に進んでいるのかまた進みたいのかわからない。私自身もわかっていないし、政治家ですらどうしたいのかわかっていないのではないかと思う。
今の若い世代は私も含めて戦争の体験も無くて今の今まで経済的不況もそれ程感じずにわりと恵まれた環境で育ってきた人が多く、危機感をあまり感じないのではないだろうか。
特に苦労しなくても、頑張らなくても人並みの生活ができ、必要なものは手に入る時代、あまり深く物事を考えることも無く、またその必要もなかった。
しかし、これからは違う。時代は変化して経済は悪化。日本が過去に持っていた技術大国としての威厳は薄れてきている。まだ余力が残っているうちに次の時代のための蓄えをしておかなければいけない。

何がガンかというと、国民一人一人が危機感を持てていないことである。現状で何が悪いのかも漠然としていてつかめていない。また、目標がはっきりしないが故にやる気もなかなかおきない。日本はこうでありたい。そういう目標を自分たちで見つけて定めていかなければならない。自分もそれを真剣に考えていかなければならないと思う。

今回筑紫さんの多事争論から『この国のガン』というテーマについて考えることとなった。このような場を多く持ち、多くの人が日々の暮らしの中でふと立ち止まり、現状を知り、この国の未来について考え、どうしていかなければならないかを考える機会を増やしていくことが大切だと思う。一人一人が意識を変えていかなければ手遅れになってしまうかもしれない。