
「わたし出すわ」
2009/10/16
リーマンショックから1年と1ヶ月。世界中を巻き込んでいる経済不況はなかなか先が見えませんよね。そんな中、お金をテーマにした作品を紹介したいと思います。森田芳光監督作品「わたし出すわ」です。
故郷の函館に突然現れた摩耶(小雪)は、高校のときの友人に路面電車の中で再会します。今は電車の運転手となっている道上(井坂俊哉)に当時の友人たちに自分が函館にいて、みんなに会いたがっていると伝えます。それぞれに都合のある友人たちは摩耶の突然の帰郷に驚きを隠せません。そんな中友人の一人、魚住(黒谷友香)のダンナが急死し、全員と顔を合わせることになった摩耶。彼女は次から次へと友人たちの夢をかなえようと大金をはたくのですが…。
どうして東京にいるはずの摩耶が突然函館に戻ってきたのか?とんでもない大金を人のためにためらいもなく使う摩耶はどうやってそのお金を得たのか?摩耶の職業はなんなのか?などなど、謎が謎を呼ぶ展開となっています。そして森田ワールドの独特な節回しで話が進んでいくのです。この作品が森田作品の第1作目という人はちょっと驚くかもしれませんね。テンポが速く、登場人物が相手のせりふにかぶせるようにしゃべる最近の作品ばかり見ていると、この作品の<素>が気になるかもしれません。それもひっくるめて森田色なんですけどね。
お金がもたらす問題や人と人との縁など、<お金>がすべてのキーワードとなっています。出演者のほとんどが摩耶に様々な疑問を投げかけないのですが唯一、それをやるのが、これまた謎の男、溝口です。演じる仲村トオルが、無国籍スパイのように登場するシーンは緊張感があります。もうちょっと出てほしいとおもったのは私だけ??
10月31日(土)、恵比寿ガーデンシネマ、新宿バルト9、銀座テアトルシネマほか
全国ロードショー
映画「わたし出すわ」 公式HP
http://watashi-dasuwa.com/