
マイレージ、マイライフ
2010/03/19
さてアカデミー賞、「ハート・ロッカー」の圧勝でしたね。玄人受けしたとか、世の中が「アバター」のような作品ばかりになると俳優としての地位が危うくなるから俳優票が「ハード・ロッカー」に流れた、などなど。本当なんだかどうなんだかわからない話があちこちから聞こえてきます。
「ハート・ロッカー」ほどではないですが、アメリカの批評家たちが絶賛した作品を今週は紹介します。クルーニー兄貴主演「マイレージ、マイライフ」です。
1年のうち322日も出張しているライアン(クルーニー兄貴)の職業はリストラ対象者に解雇を言い渡すプロ。こんなご時勢ですからライアンはアメリカ中を飛び回り、航空会社のマイルをためまくり、その恩恵にあずかっています。そんないつもの出張のある晩、ライアンは自分と同じように出張で飛びまくっている女性アレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会い、意気投合し、いい感じになります。お互いの携帯でちょっとHなメールをやりとりしたり、スケジュールをちょっと工夫して飛行場で会ったり…。まあ大人の関係を築いていきます。出張を終え本社に戻ったライアンの元に上司が新人女性ナタリー(アナ・ケンドリック)を紹介します。彼女はいずれは解雇通知をインターネット上で行うシステムをつくりたいという始末。真逆の考え方のナタリーの教育係となってしまったライアンはそんな机上の論理では解決できない、厳しい現状をナタリーに見せ付けるのですが…。
ライアンはバックパックに入らない人生の荷物は一切背負わないという考えの持ち主。その行動はあまりに割り切りすぎてちょっとついていけないかもと思って見ていました。しかし物語が進むにつれ、ライアンは周りの人と様々な形でかかわろうとしてくるのです。彼の職業といい、彼の行動といい、まさしく“今”を描いている作品だと思いました。クルーニー兄貴はこの作品でアカデミー主演男優賞候補だったのですが、結果は皆さんがもうご存知の通りです。でも、いつのもへらへら感のない、とてもよい演技だと思いました。
アメリカは国土が広いのでそりゃマイルはたまりますよね。マイルが増えれば上客として扱ってもらえる。並ばずに飛行機に乗れる、ウエイティングバーが使えるなど様々な特典があります。この作品の中には、その特典をおしゃれに扱って一つのエピソードにまとめています。
この作品、飛行機の中で見たらもっと楽しいかも!と思いました。チャーミングなクルーニー兄貴にぜひ会いに行ってください!
小池由起
映画『マイレージ、マイライフ』公式HP http://www.mile-life.jp/
3月20日(土)、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー