ワンショット劇場

華麗なるアリバイ

2010/07/29

しかし暑い!!いじめられているような暑さですね。
こういうときは映画館に限ります!冷え冷え~で、ビール付き。こんなに素晴らし場所はありません。
で、今週紹介するのはビールじゃなくてワインが飲みたくなる作品、「華麗なるアリバイ」です。ワインといえばフランス、そうです、フランス映画です。

とある週末。上院議員大邸宅に9人の男女が集まります。ホストは上院議員夫妻。招かれたのは精神医のピエール(ランベール・ウィルソン)とその妻クレール(アンヌ・コンシニ)。新進の芸術家でピエールの現在の愛人エステル(ヴェレリア・ブルーニ=テデスキ)や小説家の卵フィリップ(マチュー・ドゥミ)。イタリア女優でピエールの昔の愛人レア(カテリーナ・ムリーノ)などなど。ピエールを軸にした嫉妬と愛情が複雑に絡み合った晩餐(こんなものには出席したくありませんが)は無事終了。そして翌日、1発の銃声に倒れたのはピエールだったのです。遺された8人はそれぞれにアリバイはあったものの、全員がピエールとなんらかのつながりがあるのは事実。容疑者としてピストルを握っていた妻のクレールが連行されるのですが。

この作品はアガサ・クリスティーの「ホロー荘の殺人」が原作です。それが見事なまでにフランスチックに仕上がっていてちょっと驚きです。推理も楽しいですがやはり男女の会話の面白さは天下一品!妻と現在の愛人と過去の愛人が同席するなんて、フランス以外じゃありえないと思います。そして過去の愛人レアはイタリア人ときたもんだ!彼女が邸宅に現れたときのピエールの表情や声の上ずり。現在の愛人エステルの鋭い視線。う~ん大人ですなあ~。晩餐会でも会話の中心はレア。ピエールを巡る火花バチバチのやりとりはわくわくしてしまいました!それを冷ややかな目で見るのは上院議員の姪っ子で学生のクロエ。クロエは大人たちが使っているうわべばかりのフランス語ではなく、学生言葉でこの状況を表現するのですがそれが絶妙なんです。このスリリングな感じがフランス映画ですよね。言葉といえば、ピエールとクレールの子供たちもパパやママとしゃべるときは一応上流階級のがきんちょらしいフランス語を使っていますが、子供同士でしゃべるといきなり今風の言葉!それを聞いたクレールが「マンガの影響でいやだわ!」とつぶやくのです。そのとき子供たちが持っていたのは「NARUTO」!なんともグローバルになったものです、日本のマンガは。

フランスの上流階級らしい着こなし、上品な調度品も楽しめます。93分という短い作品ですが、登場人物がハリウッド作品の2倍はしゃべりますのでご注意ください。パリの屋根というおしゃれな場所を上手く使っているのでそのあたりも楽しんでくださいね!
やっぱ、男女関係の複雑さは世界一だわ、フランスは!

小池由起


映画『華麗なるアリバイ』公式HP
http://aribai-movie.com/pc/

2010年7月17日(土)より
Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

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