ワンショット劇場

プレシャス

2010/05/14

今週は、こんな人生ってあるの?という作品「プレシャス」を紹介します。

NY,ハーレムで暮らす16歳の少女プレシャス(ガボレイ・シディベ)は、その年頃のほかの女の子とはちょっと違う人生を歩んでいました。彼女は2度目の妊娠中。しかもおなかの子供の父親は自分の父親!プレシャスは、ダンナを奪われたという感情を抑えきれない実の母親(モニーク)からはつらい仕打ちをうけるという、もう不幸のてんこ盛りのような環境に身をおいていたのです。満足に読み書きもできない彼女の唯一の楽しみは妄想…。想像上の自分はすらっとした大スター。こんなことを考えているときだけが彼女にとっての安定した時間だったのです。妊娠を理由に学校から追放された彼女はフリースクールに送られます。そこで彼女は、初めて人間らしい生活を送るのですが…。

アメリカ映画で黒人が出てくるといえば古くはお金持ちのお手伝いさんだったり、肉体労働者でした。彼らが主役の作品に日が当たることはなかなかありませんでした。登場人物が全員黒人の作品もあるのですが、それは黒人のためだけの作品だったりしました。この作品は、そんな境遇の黒人の現実と未来を描いたものです。このような作品がアカデミー賞の候補に挙がり、実際助演女優賞は鬼母(!)を熱演したモニークが受賞したというのはある意味、ハリウッド映画に新しい時代がやってきたのかもしれません。

あまりに過酷な現実ですが、これも本当のこと。そんなことを考えるきっかけになる作品だと思います。いつも露出の高い衣装で、我々のまえに登場するマライヤ・キャリーが普通の洋服を着て登場します。これはかなりレアな感じかも…。劇場でご確認くださいませ。

小池由起

映画『プレシャス』公式HP http://www.precious-movie.net/
2010年4月24日よりシネマライズほか全国公開中

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