ワンショット劇場

「イングロリアス・バスターズ」

2009/11/13

今週も一流のマニア(というか“おたく”…)監督の作品を紹介します。お待たせしました!タランティーノ監督最新作「イングロリアス・バスターズ」です。

舞台はナチスがヨーロッパにはびこっていた1940年代。ナチスに家族を殺されたユダヤ人の娘の復讐劇とナチスを心の底から憎むアメリカ軍の秘密組織「イングロリアス・バスターズ」の行脚を軸にお話が進んでいきます。ものすごい数の人々が登場し、3ヶ国語が飛び交い、チャプター(章)ごとに主人公が代わっていくという目まぐるしい展開となっていますが、そこはタランティーノ監督、頭がごちゃごちゃにならずに2時間32分乗り切ることが出来ます。秘密組織のレイン中尉に扮するのはブラピ(本人は極東の地でこんな呼ばれ方をされているのを知っているのでしょうか)。きれいなブラピにはあんまり関心がないのですが、今回のようなぶっ飛んでるブラピにはなんともいえない味があります。まあ、イケメン俳優といっても40過ぎですからね、6人の子持ちだし。

2重スパイが出てきたり、アクセントの話が出てきたり、なんともヨーロッパチックなところがアメリカ作品とは思えないほど凝っています。さすが映画オタク、タランティーノ監督作品と、うなってしまいました。ブラピのぶっ飛び演技も大拍手ですが、ナチスの冷血な大佐、ラング(クリストフ・ヴァルツ)はそれ以上です。ものすごくいやなやつですが、他の作品に出てくるような表情もないナチスの高官でないのがタランティーノ流。迫真の演技は舞台ならスタンディングオベーションとなるほどです。

5つのチャプターからなる大物語、最初のナレーションでお分かりになると思いますがこれはもちろん歴史の基づいたお話ではありません。もちろん実在の人物も出てきますし、ナチスがヨーロッパを支配していたのも本当のこと。でもタランティーノはこれをファンタジーと称しました。誰のどのようなファンタジーなのか、劇場でお確かめください。ちょっと残酷なシーンがあるのでご注意くださいませ。15歳以上の方は、タランティーノ・ワールドを堪能してください!!

小池由起

映画「イングロリアス・バスターズ」 公式HP http://www.i-basterds.com/
2009年11月20日(金)より、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードーショー

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