ワンショット劇場

キャピタリズム 〜マネーは踊る〜

2009/12/18

来週はクリスマスですよ、みなさん!準備は整っていますか?プレゼントの用意は抜かりないですか?あげるほうだけでなくも受け取るほうの準備(?)も出来てますか?そんなこんなで、12月はお札がマッハで財布から消えていく月ですね。そんなお金のお話「キャピタリズム 〜マネーは踊る〜」を紹介します。あの、マイケル・ムーア監督最新作です。

昨年9月のリーマンショック以降、世界経済は動きが取れない泥沼に陥っています。善良な市民が家を取り上げられ、ホームレスになる始末。一体何がこの惨事の原因なのか?アメリカが目指していた自由で何でも夢がかなう社会はどこに行ったのか?政治の現場に何が起きてたのか?それらの疑問に名物監督が鋭く迫る社会派ドキュメント作です。いままでのムーア監督の作品と同様に、アポなし取材を今回も敢行するのです。しかし有名になりすぎたので、電話をして名乗るだけできられてしまうのです。しかしそんなことでめげるムーア監督ではありません。自分がおかしいと思ったら、とことん戦います。見ていて溜飲が下がった人も多かったのではないでしょうか。自分の表現したいことをスクリーンに描くためには、過去の関係ない映像を使うなんて朝飯前。そこに自分の主張をナレーションという形にしてかぶせるわけです。映画のワンシーンに別のせりふをかぶせて笑いを取るなんて彼しか出来ない技ですよね。よくぞ映像使用許可が取れたもんだと毎回感心しておりますよ、同業者といたしましては。

つまり彼のドキュメンタリー作品は彼の優れた編集技の集大成によって出来上がっているのです。来日中のインタビューでムーア監督は「あまり細かい脚本は書かない、何が撮影できるか、やってみなければわからないから」と応えていました。取材できた映像の出来高でいかに自分の主張を形にするか。取材できなかった部分はありものでなんとかしようということです。そこで編集の技が光るというわけ。あまりに無理筋で、借りた映像の持ち主から文句が来ないか、心配になるシーンも多々あったのも事実です。(私が心配してどうにかなるもんでもないですが)

資本主義が諸悪の根源であれば、一体どのような社会経済の形態が望ましいのか。など、様々なことを考えるきっかけとなる作品だと思います。お金が最速で消えていくこの季節にこそ、見てほしい作品です。

小池由起


映画『キャピタリズム 〜マネーは踊る〜』公式HP
http://www.capitalism.jp/

2009.12.5 TOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ梅田にて限定公開
2010.1.9 全国拡大ロードショー

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