ワンショット劇場

インビクタス 負けざる者たち

2010/02/05

あっという間に2月ですね。2月といえば日本で一番チョコレートが売れる月です。このイベントにちなんだ作品は来週に回して、今週は理想のリーダーのお話、「インビクタス 負けざる者たち」を紹介します。昨年公開され多くの人々から絶賛された「グラントリノ」の監督、クイント・イーストウッドの最新作です。

南アフリカ。人種隔離政策、アパルトヘイトに反対したため政治犯として27年間も収監されていたネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)は1990年釈放され、1994年に大統領となります。差別されていた黒人たちは、自分たちにも自由が来ると感じ大歓迎します。しかし差別していた側の白人たちはなかなか心を開こうとしません。そこでマンデラ大統領は、南アフリカが国として一つになるにはどうしたらよいか、熟考します。そこで思いつたのが、翌年に控えていたラグビーのワールドカップを利用するという普通では思いつかないような奇策です。というのもラグビーは白人中心のスポーツで、黒人には差別の象徴として認知されていたからです。そこでマンデラは、ナショナルチーム“スプリングボクス"の主将フランソワ・ピナール(マット・デイモン)を巻き込み、南アフリカの恥とまで言われていたチームに喝を入れるのです。フランソワは大統領が望んでいること、つまりワールドカップでの優勝、を実現するため、チームを一つにするべく行動を始めました。渋るチームメイトを引き連れて黒人の子供たちにラグビーを教えに行ったのです。子供たちの輝く目はチームメイトたちにも力を与え、ワールドカップ優勝へ突き進んでいくのです。

もちろんこれは実話です。南アフリカから遠く離れた日本でも、南アフリカでの黒人初の大統領としてのマンデラ氏のことはよく知られていますが、国を一つにまとめるためこんな作戦を取ったことは知りませんでした。どうしても白人が許せないというスタッフに対して大統領は、「許すことが国を一つにする第1歩だ」とかたります。まさしくその通りですが、そんなに簡単に出来ることではないと思います。その信念を曲げずに国を纏め上げたマンデラ大統領はやはりたいしたものです!

そしてモーガン・フリーマン!マンデラ大統領より先に、スクリーン上ではアメリカの黒人大統領を演じていますが、本当にマンデラ大統領に見えてきます。映画の冒頭と最後にニュース映像が出てきて本物のマンデラ大統領も登場するのですが、その本物ですらフリーマンに見えてくるぐらいです。あっぱれ!ですよね。そしてフリーマンの魅力を150%引き出したイーストウッド監督もすごい!目線が優しく、画面にぐいぐい引き込まれていきます。ラグビーのシーンなんか、スポーツ中継のお手本にしたいぐらいです。結果を知っていても手に汗握ってしまいました。

男性も女性もきっと楽しめる作品です。デートにもお勧めです!
ぜひ劇場へどうぞ!

小池由起



映画『インビクタス 負けざる者たち』公式HP
http://wwws.warnerbros.co.jp/invictus/

2010年2月5日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開

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