
第9地区
2010/04/23
さて、妙な天気が続いていますがいかがお過ごしでしょうか?
今週はちょっと不思議な作品「第9地区」を紹介します。
低予算、スター出演なしで、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされた作品です。
南アフリカ、ヨハネスブルグの上空に停止している巨大な宇宙船。何をすることもなく空間にとどまり続けていた物体に超国家機関MNUが接触を試み、宇宙船内に居たエイリアン、ここでは海老と呼んでいますが、を地上の第9地区に隔離します。そして20年、そのエリアがスラム化したため、郊外の別の地区に彼らを強制移住させようとします。MNUの責任者ヴィカス(シャルト・コプリー)が第9地区に出向き、彼らに移住の同意を求めていきます。その時、不思議な液体がヴィカスの顔にかかり、そこから想像を超える出来事に巻き込まれることになるのですが…。
この作品の監督は南アフリカ出身のニール・ブロムカンプです。そして舞台も南アフリカ。ここから想像できるのは、この国が長年行ってきた人種差別政策、アパルトヘイトです。第9地区を当時の黒人移住区と置き換えれば理解できると思います。またアメリカ映画のエイリアンはたいてい人間よりも強靭で頭のよいという描かれ方をしていますが、この作品のエイリアンは野蛮で弱い立場におかれています。優位に立つ側のヴィカスが、理由は個人的なことですが、エイリアン側に立ち、人間と戦う。なんだか今の社会を見せられているような気がしませんか?異質なものを排除する社会、弱いものを追い詰める社会、この「第9地区」で描かれているのはまさに<今の地球>ではないでしょうか?
様々な見方が出来る作品だと思います。皆さんは何を思いましたか?
小池由起
映画『第9地区』公式HP http://d-9.gaga.ne.jp/
2010年4月10日(土) 丸の内ピカデリー他 全国ロードショー