
パリ20区、僕たちのクラス
2010/07/09
皆さん!今年も後半戦突入ですよ!
なんて早いんでしょう。ワールドカップのサムライブルーにはしびれましたね。この根性で後6ヶ月乗り切りましょう!
で、今週はそのワールドカップで無様な姿を世界にさらけ出したフランスの作品「パリ20区、僕たちのクラス」です。
パリの北、最も人種が入り乱れている20区の公立中学校に勤めている国語教師フランソワ(フランソワ・ベゴドー)。正しいフランス語をしゃべることができるということは、たとえ移民であれ、フランスという国で自立することを意味するのだと生徒に教えようと真剣勝負をかけています。しかし24人の生徒たちは、テレビや雑誌などで流行っているスラングに親しみ、なかなかフランソワの真意が伝わりません。苛立ち始めたフランソワがついつい発した一言が、思わぬ事態をなってしまうのですが…。
フランスにおける国語とはもちろんフランス語のことです。一言に国語といっても、耳から聞いてそれを書く授業、作文の授業、詩を朗読する授業、フランス語の仕組みを習う授業と幅広いものです。私立だとそれぞれ異なった先生が教えるところもありますが、公立だとこの作品のように一人の先生がすべてを担当しているところがほとんどです。フランスはいまだに階級社会なので、しゃべると階級がわかるとも言われています。でも移民にとってはとりあえずフランス語を話せることが自分の生活をより一層楽なものにする手段なんです。しかし子供にとってはそんな論理は堅苦しいだけ。授業も退屈だし、とりあえず生活できるぐらいのおしゃべりはできるもんね~って感じです。で、理屈だけは大人並み。自分もそうだったからよ~くわかります。屁理屈のかたまりなんですよね、フランス人の子供って。
移民の子供たちが多い20区を舞台にした時点でこの作品はキラリ光るものを持っていると思います。冒頭のW杯のフランスチームですが、右翼系の議員から「移民の連中ばかり使っているからこんなことになったんだ。今度から代表選手にフランス語のテスト(!)を課するべきだ。」なんてご意見が出てしまうような国なんですよね、おフランスって。この作品の生徒たちが聞いたらなんて答えるんだろうと思っていました。
何年か前の自分を見てるような作品でした。フランスの中学生は「リセエンヌ」と呼ばれて、日本ではおしゃれと思われていますが、これが現実です。
小池由起
映画『パリ20区、僕たちのクラス』
公式HP http://class.eiga.com/
2010年6月12日(土) 岩波ホールにて公開