
17歳の肖像
2010/05/07
今週紹介する作品は誰もが「そうそう、そんなことあったよね」と思い出すことが出来る作品「17歳の肖像」です。山椒は小粒でぴりりと辛い、という感じのイギリス映画です。
ロンドン郊外に住むジェニー(ケリー・マリガン)は名門オックスフォードを目指す優秀な女の子。かなり保守的な父親(アルフレッド・モリナ)に促されて勉強していますが、刺激のない日々が物足りない感じです。そんなある日、大雨の中、スポーツカーに乗った大人の男子、デビット(ピーター・サースガード)に声を掛けられます。彼に誘われ音楽界やナイトクラブに出入りするようになったジェニー。退屈だった毎日がガラッと変わる生活に自我が芽生え、学校なんて意味がないと思い始めたジェニーは同級生の憧れの的となります。ちょっと危ない職業をしているデビッドに誘われパリに行ったころが彼との付き合いの頂点、ある日あるとき、彼の秘密に気づいたジェニーでしたが…。
時代設定は1961年。いわゆる“ビートルズ前”のイギリスです。大陸よりも保守的だった当時のイギリスでは女子高生にとっては息の詰まるような生活だったにちがいありません。だからジェニーはフランス、特にパリに憧れ、グレコのシャンソンを聞き、フランス語を勉強し、相槌を打つのにフランス語を使ったりと背伸びをします。隣の芝生は青く見えるという言葉通り、当時のイギリス人は自由なパリに憧れ、十年たった70年代にはフランス人がロックやパンクが受け入れられているイギリスにあこがれたのです。そんなことを思い出しながら、ジェニーとデビッドのパリでの休日を見ていました。パリって本当にすばらしいことに、今撮影しても60年代の雰囲気を出せる街なんですよね。どう考えても東京じゃ無理だし、京都でも難しいかも。NYもちょっと考えちゃうけど、パリならば可能なんですよね。うーん、恐るべし街パリ!
大人のシーンを見せ付けられると、17歳なんてスポンジのようになんでも吸収するころにはどんどん変化していきます。その成長シーンを見ているだけでも楽しいですよ。大人になるっていろいろあんのよね~なんて思って見ていました。懐かしい気分に浸るにはぴったりの作品です。で、昔からパリの土産といえば香水だったのよね、と妙なところで確認してしまいました。
小池由起
映画『17歳の肖像』公式HP http://www.17-sai.jp
2010年4月、G.W.より
TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー